アパートの老朽化するのは築何年から?築年数とアパート経営を関係を解説
アパートの老朽化は築何年から始まるのでしょうか。
築年数と法定耐用年数の関係性や、賃料への影響などを解説しつつ、築年数とアパート経営の関係について紹介します。
アパートの耐用年数と老朽化について
老朽化したアパートと耐用年数の関係について解説します。
アパートの寿命とは
アパートの寿命とは明確な定義が定まっていないものの、空室率が上昇して家賃収入が減少した状態や、維持管理費用の増加したタイミングです。
寿命が近づくにつれて、アパートは入居者の確保が難しくなり、建物もさまざまな箇所が劣化して修繕費用がかさみます。
収益より支出の方が大きければ、寿命が来たタイミングとして判断することもできます。
しかし、築50年や60年であっても支出より収益の方が高いケースもあることでしょう。
事業としては成り立っているものの、大地震などの発生により、アパートが倒壊して人的被害が発生する懸念もあります。
そのため、アパートの寿命は収益だけでなく、築年数で判断されることが多いです。
アパート築年数の寿命を考えるとき、法定耐用年数の話が出てきます。
そもそも法定耐用年数について分からない方もいらっしゃることでしょう。
次の項で詳しく紹介します。
法定耐用年数の説明
法定耐用年数とは、国が定めた固定資産を使える期間のことです。
アパートなどの建物には、構造や用途によって法定耐用年数が定められており、その年数の間は、減価償却費として経費計上することができます。
例えば耐用年数が22年の物件の場合、22年かけて物件購入費用を経費として計上することができるということです。
法定耐用年数は、減価償却費の算出や、金融機関のローン審査・借入期間の目安などに用いられます。
仮に22年の法定耐用年数であれば、ローンの借入期間を22年に設定している金融機関もあります。
そのため、法定耐用年数はアパートの寿命の目安として判断されることがあります。
構造別の耐用年数
法定耐用年数は建物の構造や用途によって異なります。
アパートなどの住居用の場合、以下の表の通りです。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨造(3mm以下のもの) | 19年 |
鉄骨造(3mmを超え4mm以下のもの) | 27年 |
鉄骨造(4mmを超えるもの) | 34年 |
一般的にアパートの構造には、木造や鉄骨造が用いられることが多いです。木造であれば22年、鉄骨造であれば、骨格材の厚みによって法定耐用年数が異なります。
物理的耐用年数と法定耐用年数の違い
法定耐用年数はアパートの寿命とイコールではありません。建物の寿命を表すものは「物理的耐用年数」と言います。
その名のとおり、法定耐用年数を経過した建物でも、構造上十分使用できると判断できる年数のことです。
実際木造のアパートであっても、金融機関は30年や35年の期間の融資を貸し出してくれるケースも多いです。
老朽化したアパートであっても、しっかりメンテナンスを行い、入居者が不備なく生活できれば、寿命が来たとは判断されません。
そのため、法定耐用年数を経過したからといっても、住めなくなるわけではなく、すぐに建て替えなどをする必要もないでしょう。
老朽化したアパートのリスクとデメリット
法定耐用年数を経過したアパートであっても、寿命は来たとは判断されませんが、老きゅかに伴いさまざまなリスクやデメリットにつながります。
ここでは5つ紹介します。
空室率の上昇
老朽化したアパートは、新築物件と比較して需要が低くなるため、空室率が上昇してしまう傾向にあります。
もちろん駅地下や大学付近など、需要が高い立地の物件であれば、築年数が古くても高い入居率を維持できるアパートもあります。
しかし、老朽化したアパートの周りに新築物件が増えると競合物件も多くなります。
その際、入居者は「家賃が安くて古い物件」「家賃が高くて新しい物件」のどちらかを選択することになります。
日本人は新しいものを好む傾向にあり、なおかつ物件の選択肢が広がるため、老朽化したアパートの空室率は必然と高まるリスクが伴います。
家賃収入の低下
空室率が高まると、得られる家賃収入も低下します。
老朽化すると、競合物件との差別化を図る必要があるため、一般的には家賃を下げて入居者を募集します。
以下の画像は三井トラストが2013年に発表した「Report 経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」であり、毎年1%前後の家賃下落が発生していることがわかります。
築20年になると新築時から約20%もの家賃が下落するため、家賃収入も低くなるデメリットにつながります。
修繕費用の増加
老朽化したアパートや給排水管や空調設備など、さまざまな箇所が劣化し、修繕費用がかさみます。
また、外壁や屋根なども塗装や補修する箇所が増えるため、修繕費用が増加し、収益性が低下するリスクが伴います。
資産価値の低下
老朽化したアパートの資産価値は、築年数に合わせて低下していきます。
築年数が古くなるにつれて、空室率の上昇や家賃下落、修繕費の増加などから購入希望者も減るためです。
資産価値が低下すると売却価格も安くなるデメリットにつながります。
安全性の問題
アパートが老朽化すると、安全性の問題も懸念されます。
普段からメンテナンスを行っていても、構造の箇所は修繕するのは困難です。
古くなるにつれて、耐震性能も低下し、大地震に耐えられないアパートになる危険性も高まります。
老朽化アパートへの対処法
では老朽化したアパートはどのように対処すればよいのでしょうか。
ここでは3つの方法を紹介します。
リノベーション・大規模修繕
老朽化したアパートをリノベーションし、大規模修繕を行う方法があります。
リノベーションを行えば、建物の外観だけでなく内装を大きく変えることができ、新しい物件のような印象を与え、入居者確保につながります。
具体的には、屋根や外壁の修繕、お風呂やキッチンなどの入れ替え、クロスや床材の張替え、部屋の間取り変更などの工事が該当します。
メリットとデメリット
リノベーションや大規模修繕を行うメリットとデメリットには、以下のような項目が挙げられます。
メリット | デメリット |
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費用の目安
リノベーションの費用相場は、1,000万円〜3,000万円程です。もちろんアパートの大きさや劣化具合によって異なるため、一概には言えません。
築年数が古くなるほど修繕箇所が増え、アパートが大きくなるほど修繕範囲が広くなります。
そのため、物件次第ではリノベーションするより建て替えした方が安くなるケースも多いです。
リノベーションする際は、リフォーム会社などに見積もりを依頼しておきましょう。
建て替え
老朽化したアパートを解体し、新たな建物を建築する方法です。
リノベーションや大規模修繕よりコストがかかりますが、新築物件として入居者確保につながる方法です。
メリットとデメリット
建て替えのメリット・デメリットには以下のような項目があります。
メリット | デメリット |
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費用の目安
新築アパートの建築費用相場は、7,000万円〜1億5,000万円程です。
構造 | 費用目安(1K-8世帯) |
---|---|
木造 | 7,000万円~1億円 |
鉄骨造 | 9,000億円~1億5,000万円 |
建て替え費用は、建物の構造や規模によって大きく異なります。
また建築会社によっても費用が大きく異なるため、相場を鵜呑みにせず見積もりを取るようにしましょう。
アパート建て替えの判断基準とタイミング
アパート建て替えをする基準は、入居率が低迷してきた段階です。
新たな入居者を募集しても見つからない場合や、現入居者が契約更新せず、退去される予定がある場合などは建て替えを検討しても良いでしょう。
もちろん明確なタイミングは物件によって異なります。
また、建て替えした方が収益性が高くなるのであれば、一つのタイミングと言えるでしょう。
売却(現状または更地にして)
老朽化したアパートは売却するのも一つの方法です。
現状のまま売却する方法と、解体して更地にしてから売却する方法があります。
メリットとデメリット
売却のメリット・デメリットには以下のような項目があります。
メリット | デメリット |
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売却時の注意点
アパートを含めた不動産を売却する際は、利益が発生した際、譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税は、利益に対し、税率を掛けた金額です。
税率は、不動産を保有していた期間5年を境に、以下の表通りと異なります。
所得の区分 | 税率 |
---|---|
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 20.315% |
短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 39.63% |
引用:「”No.3208 長期譲渡所得の税額の計算”.国税庁.」および「”No.3211 短期譲渡所得の税額の計算”.国税庁.」
譲渡所得税は、高額な不動産の売買であり、税率も高いことから納税額も大きくなる可能性があります。
税理士などに相談して譲渡所得税を算出してもらってから売却するようにしましょう。
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2023年2023年5月期_ブランドのイメージ調査(調査1~3)
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
調査期間:2023年3月14日~2023年5月31日
n数:129(※調査1)、124(※調査2)、136(※調査3)/調査方法:Webアンケート
調査対象者:https://jmro.co.jp/r01446/
備考:本調査は個人のブランドに対するイメージを元にアンケートを実施し集計しております。/本ブランドの利用有無は聴取しておりません。/効果効能等や優位性を保証するものではございません。/競合2位との差は5%以上。