アパートの空室が多い問題が物件の改善だけで解決しない理由とは?
アパート経営において、最大のリスクとなるのが空室によるキャッシュフローの悪化です。
アパートの維持には修繕費や税金などの固定費がかかりますが、これらは通常、家賃収入から支払われます。空室が増えると採算が取れなくなるため、経営を続けるのが難しくなるのです。
空室が増える原因は多岐にわたります。建物自体の問題だけでなく、外部要因も影響することがあります。効果的な対策を講じるためには、まず空室の根本的な原因を正確に把握することが重要です。
アパートの空室が多くなる主な理由と、それぞれに対する具体的な対策について詳しく解説していきます。
物件側の原因と対策
アパート経営において空室を発生させないことは重要な課題ですが、常に満室状態を維持するのは簡単ではありません。
価値総合研究所が公開しているデータによるとアパートの平均空室率は約18.8%となっており、全体の約2割が空室になっているのが現状です。
円滑なアパート経営を目指すのであれば、満室が難しくても空室が2割以下になるよう工夫することが一つの基準と言えます。
この章では空室が増える主な原因について、解説します。
参考:価値総合研究所「賃貸住宅市場の実態について」
設備の性能と老朽化
近年の異常気象によりアパートの断熱性や空調設備の重要性は高まっており、気密性と断熱性が高く高機能のエアコンが設置されているアパートは人気があります。
しかし機能性や設備は築年が古くなると劣化してしまい、さらにキッチンやトイレの老朽化も進んでしまいます。
設備の性能が低いと入居者が快適な生活をしにくくなってしまうため、退去の原因になります。また、設備を古いままにしておくと、新しい入居者も決まりにくくなります。
これ以外にも現行法令に適した耐震基準で建築されているのかという点も重要です。古いアパートに住んでいる住民は地震が発生する度に不安な思いをすることになってしまいます。
そのため設備の性能と老朽化の度合いは定期的にチェックし、入居者が気持ちよく暮らせる環境を維持する必要があります。
メンテナンス不足
アパートは、メンテナンスを何もしないと劣化が進み、外壁や屋根に傷があったりパネルが剥がれた状態になります。見た目も悪いため、入居希望者に避けられる傾向があります。
また敷地内に草が生い茂りゴミが散らかっていると入居希望者だけでなく現在入居している人にとっても良い環境といえないことから、退去者が増える原因にもなりかねません。こうした問題を解決するためにも外観はキレイな状態を維持し、退去者が出にくく入居希望者が見つかりやすい状態に整備しておくことが大切です。
間取りが現代のライフスタイルに合っていない
築年数の経ったマンションやアパートは、現代の生活様式に適さない間取りが多く見られます。
例えば洗濯機の外置きや、トイレがリビングに直結しているなどです。また、コンセントの数が少ないというケースもあります。
こうした間取りは昭和の時代に建築されたアパートで見かけますが、現在のライフスタイルに合っているとは言えないため、住みにくい生活空間になってしまいます。
入居の時点では問題がないと思っていても、実際に住んでみると不便さを感じ、契約更新せずに退去を選ぶ入居者も少なくありません。このようにすぐ退去してしまう問題を解決するためにも現代的な間取りにリノベーションし、入居期間が長くなる工夫をすることで空室率を下げられます。
物件以外の原因
アパートの空室が増える物件以外の原因として、次のような問題が考えられます。
- 人口の減少と東京一極集中
- 家族と同居する人の増加
- 競争の激化
上記の問題は、社会的・経済的な原因で起こるため、建物自体の改善や修繕だけでは解決できません。これらの傾向を早期に認識し、迅速に対応策を検討することが重要です。
人口の減少と東京一極集中
日本の人口は2015年をピークに減少していますが、国土交通白書2020によると郊外に住んでいる人が東京などの大都市へ転入する傾向が続いているようです。
つまり郊外は平均よりも早いスピードで人口減少している可能性が高く、そもそも住む人が少なくなることが空室率を高くする原因になっています。
このような原因による空室率増加はアパートをリノベーションしたりメンテナンスしても改善しないケースが多いため、注意が必要です。
参考サイト:国土交通省「2
東京一極集中と地方への影響」
家族と同居する人の増加
未婚率が上昇することで実家暮らしの期間が長くなり、その結果入居希望者が減ってしまうという点も空室率増加の大きな原因です。また所得が増加せず一人暮らしをしたくてもできないという点も問題となっており、特に家賃が高い大都市では若い世代が賃貸を借りにくい現状となっています。
実家をでることなく暮らし続ける人が増えれば、アパートを借りる人が少なくなるため、賃貸の契約数が減る原因となります。
競争の激化
日本では金融政策や老後の資産形成を背景に、不動産投資ブームが続いています。そのため、入居希望者が多いエリアを中心に新しいアパートが次々と建築されるようになりました。
同じエリアにアパートを所有していた場合、仮に空室ができても、より新しいアパートから入居者が決まる可能性が高くなります。
築年数の古いアパートは第一希望の物件に選ばれることは少なく、他のアパートと比較するとに競争力が低いことから入居希望者が集まりにくいといえます。
このことからも、競争が激しいエリアの場合は入居希望者が競合物件よりも気に入るポイントをアピールすることが重要です。
空室を減らすための改善策
空室が増えると収益が悪化してしまうことから、なるべく空室を減らす努力をし続けることが大切です。改善策は次のとおりです。
- 家賃の見直し
- 大規模な修繕やリフォーム
- 入居条件の緩和
- 空室が多ければ売却という選択肢も検討する
この章では空室を減らすための代表的な改善策について解説しますので、空室で悩んでいるオーナーは参考にしてください。
家賃の見直し
築年数が古く設備や外観が劣化していても、家賃が相場よりも安ければ入居者は増える可能性があります。
通常、家賃を一度下げてしまうと収益計画通りの利益を得られなくなり、さらに再度家賃を上げることが難しくなってしまいます。しかし空室は利益を全く生み出さないことから家賃を多少下げても入居者が決まった方が良いことから、アパート経営という観点からもおすすめです。
また家賃を適正価格に見直すことで更新率を高めることができ、その結果空き部屋を減らすことができます。
そのため入居希望者が中々決まらず空室の期間が長期化している場合は、家賃を見直すことがポイントとなります。
大規模な修繕やリフォーム
アパートの外観に古さを感じる場合でも、水回りを新調したり室内をリフォームをすることで気持ちよく生活できるため、入居者が契約更新してくれる可能性が高くなります。
こうした部屋が増えれば空室にならず長く住み続けてくれることから、劣化が進んだり現在のライフスタイルに合っていない部屋は積極的にリフォームや修繕を実施しましょう。
入居条件の緩和
働き方や住まい方は近年大きく変化し、ペット可やルームシェア可といったアパートも増えてきました。
こうしたアパートは他のアパートでは対応できなかった入居者を受け入れできることから入居期間が長くなり、空室になる可能性を低くすることができます。
また他のアパートに対して大きな差別化ポイントを持つことができるので、競合物件が多いエリアでも空室を下げることができるでしょう。
空室が多ければ売却という選択肢も検討する
修繕やリフォーム、草むしりなどを継続しても空室が減らないこともあります。
また築年数が古い場合は建て替えを検討する必要がありますが多額の費用がかかり、さらに建て替えしても満室が約束されているわけではありません。
このような状態で放置していると利益を生み出せなくなり、マイナス経営になってしまうことも考えられます。
そのためやるべきことをやっても空室率が改善しない場合は早目に売却を検討し、アパート経営を終了することをおすすめします。
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2023年2023年5月期_ブランドのイメージ調査(調査1~3)
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
調査期間:2023年3月14日~2023年5月31日
n数:129(※調査1)、124(※調査2)、136(※調査3)/調査方法:Webアンケート
調査対象者:https://jmro.co.jp/r01446/
備考:本調査は個人のブランドに対するイメージを元にアンケートを実施し集計しております。/本ブランドの利用有無は聴取しておりません。/効果効能等や優位性を保証するものではございません。/競合2位との差は5%以上。