アパートを相続したときの確定申告とトラブルを避けるための注意点
アパートから得られる家賃収入は、不動産所得に該当するため課税対象です。アパートを相続したときも同様に、相続が起きた日から年末までの家賃収入に対して税金がかかるため、確定申告をします。
ただし、アパートを相続した場合、相続人は自身の分だけでなく、被相続人の不動産所得についても確定申告をしなければいけません。被相続人の家賃収入については、通常の確定申告と時期が異なるため、正確な申告ができるように確認しておきましょう。
アパートを相続すると確定申告が2回必要になる
確定申告とは、1年間の所得に対する所得税額を計算して税務署に申告・納税する手続きです。不動産の相続は所得ではないため、所得税の課税対象には該当しません。そのため、不動産を相続しても確定申告は不要です。
しかし、アパートを相続をした場合、不動産所得である家賃収入が発生するため「準確定申告」と「確定申告」が必要になります。
準確定申告は被相続人に代わって相続人が行う確定申告です。相続が発生した日までの家賃収入は被相続人のものであるため、準確定申告が必要です。
相続発生日移行の家賃収入は相続人のものであるため、家賃を取得する相続人が確定申告しなければなりません。
1回目:被相続人が亡くなった日から4カ月以内
準確定申告とは被相続人が死亡したときの確定申告手続きです。被相続人が年の中途で死亡したとき、相続人は次の手続きを行う必要があります。
- 1月1日から死亡日までに確定した所得金額と所得税額を計算
- 相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告・納税
被相続人の死亡日により住民税が課税されるケースと課税されないケースがあります。
住民税は、納税者の前年所得に基づき1月1日時点で国内に居住していた人に課税されます。例えば、2024年9月1日に死亡した人に、2025年度の住民税は課税されませんが、2024年度の住民税は課税されます。
2回目:相続した翌年の2月16日~3月15日
確定申告とは、1年間の所得から所得税額を計算して税務署に申告・納税する手続きです。
納税者は、毎年1月1日~12月31日の所得から所得税額を計算し、原則として翌年の2月16日~3月15日までに税務署に申告・納税を行います。
被相続人の生前の家賃は被相続人の収入であり、準確定申告で所得税の対象になります。
遺言があるケースでは、相続が発生した月の家賃からアパートを相続する相続人の所得となり、所得税の対象になります。
相続したアパートの確定申告で気を付けるべきこと
相続したアパートの確定申告において注意するポイントは次のとおりです。
- 被相続人の所得税は相続人が納める
- 共有分割であれば相続人全員が確定申告をする
- 申告期限をすぎると青色申告ができなくなる
それぞれ見ていきましょう。
被相続人の所得税は相続人が納める
被相続人の所得税は、該当する期間の家賃収入によって税率が異なります。課税される所得金額に対する税率は以下のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※出典:国税庁「No.2260$2003所得税の税率」
2013年から2037年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。
所得金額が200万円であれば、所得税率は10%、控除額は97,500円であるため所得税額は次のように算出されます。
共有分割であれば相続人全員が確定申告をする
相続したアパートを共有分割しているケースではアパートを相続人全員で共有している状態になっています。したがって法定相続分による割合で不動産収入を按分して、相続人全員が確定申告します。例えば父親が死亡し法定相続人が母親と長男の場合、不動産収入を2分の1ずつ母親と長男がそれぞれ申告し所得税を納付します。
申告期限をすぎると青色申告ができなくなる
青色申告とは、定められた帳簿での記録に基づき確定申告する制度です。青色申告のメリットは、青色申告特別控除や青色事業専従者給与などが挙げられます。青色申告特別控除とは、所得から10万円、55万円、65万円のいずれかを控除できる制度です。
青色事業専従者給与とは、事業に従事する配偶者などへの給与を必要経費にできる制度です。青色申告できなければ、上記のメリットは享受できません。
白色申告とは、所得税を確定申告するときに青色申告以外で申告することです。
青色申告するには事前申請が必要です。事前申請しなければ青色申告できません。
事前申請する時期は次の2パターンです。
- 新しく事業を始めたときは開業から2カ月以内に提出
- 現状は白色申告だが翌年分から青色申告に変更するときは青色申告する年の3月15日までに提出
相続したアパートを経営するときの注意点
相続したアパートを経営するときに注意することは次のとおりです。
- 築古のアパートは高額の修繕費がかかることがある
- 共有名義の不動産はトラブルにつながりやすい
それぞれ見ていきましょう。
築古のアパートは高額の修繕費がかかることがある
築年数の経過に伴い、アパートの修繕費は増大する傾向にあります。物理的な劣化や設備の経年変化が進行し、それに対応するための維持管理が必要になるためです。
築古のアパートは老朽化が進行しているため、突然高額な修繕費がかかることがあります。修繕費は、確定申告の際、経費として計上することで税金を抑えられます。
共有名義の不動産はトラブルにつながりやすい
不動産を共有名義にするとトラブルになりやすいと一般的にいわれます。その主な理由は次のとおりです。
売却や賃貸がやりにくくなる
アパートなどの不動産が共有名義であると、共有者の一人が単独で不動産を売却できません。民法第251条により共有者全員の同意を得なければ、共有名義の不動産を売却できないからです。
また共有不動産の賃貸も共有者単独ではできません。民法第252条により共有持分の過半数の同意が必要であるからです。
共有者に連絡できなくなる可能性がある
共有不動産の所在地から離れた場所で生活している人もいらっしゃるでしょう。共有者と連絡が絶えると、不動産を売却や賃貸を検討したときに共有者を探す手間がかかります。
また共有者が死亡し、共有者の配偶者や子が共有持分を相続していることもあり得ます。そうなってしまうと、相続人が誰なのかも分からなくなりかねません。
管理費や固定資産税の支払いでもめる
マンションでは毎月の管理費や修繕積立金が発生し、固定資産税も発生します。
不動産は共有名義であれば、これらの支払い割合をどうするかについてもめることは十分あり得ます。
相続後の経営で悩んだらアパートの売却も検討しましょう
アパートを相続し経営を始めても、毎月の収支が赤字続きの場合や大規模修繕により高額な費用が発生する可能性があるなら、アパートの売却を検討しましょう。
また、相続人が複数いる場合も、現金化してから分配することで平等に相続ができるため、トラブルを避けられます。
ただし、築古のアパートは、買主が見つかりにくく、売却に時間が掛かる場合もあります。そのため、アパートを売るならアパートの売買実績が豊富な不動産会社に依頼をしましょう。
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2023年2023年5月期_ブランドのイメージ調査(調査1~3)
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
調査期間:2023年3月14日~2023年5月31日
n数:129(※調査1)、124(※調査2)、136(※調査3)/調査方法:Webアンケート
調査対象者:https://jmro.co.jp/r01446/
備考:本調査は個人のブランドに対するイメージを元にアンケートを実施し集計しております。/本ブランドの利用有無は聴取しておりません。/効果効能等や優位性を保証するものではございません。/競合2位との差は5%以上。